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#72 トーナメンターとしての平和卓也の素顔に迫る 前編

担当 かなり間が空いてしまいましたが、久しぶりのウェブマガジンの登場です。今回も宜しくお願い致します。
平和 どうぞ、宜しくお願いします。

今回はちょっといつもと志向を変えて、「トーナメンターとしての平和卓也の素顔に迫る」というお題で話をお聞きしたいと思います。
そうきましたか~。了解です。

磯釣りのトーナメントとは

トーナメントの時期は、もう今は終わっていると思うのですが、シーズン的には何月から何月ぐらいまでなのでしょうか?
今や各社・団体でトーナメントが数多く行われている訳で、ほぼ一年中、何かしらのトーナメントをやっているんじゃないかな?
ただ、1月から3月ぐらいまではやっていないんじゃないかと思います。
では、4月から12月までに行われているということですね。
そうです。チヌとかの大会だったら春先がファイナルになっていることが多いし、各社の全国大会になっていることが多いですね。グレだったら11月がメイン大会になるスケジュールが多いですね。予選会が4月、5月、6月と始まって、さらに9月、10月と大会を続けて。
磯のトーナメントはチヌもあったり、グレもあったり魚種によって大会が分かれているんですね。
そうそう、フカセ釣りについてはチヌとグレがビッグタイトルのある大会になっています。あと大会と言えば、その他に鮎、へら、投げなども大会がありますかね。でも、磯釣りぐらいじゃないですかね。トーナメントとして対象魚種が2つもあるというのは。
たしかにそうかもしれませんね。
それだけ、フカセ釣りの「競技」という意味で、世代間の広さとかグレとチヌというジャンルがしっかり確立されてなおかつ歴史が長いというのも特徴のひとつだと思います。
簡単に大会の流れとしては、予選があって勝ち抜いた後に最後決勝戦という感じでしょうか?
大会にもよりますが、私が出場しているシマノ社の大会であれば各地予選会があって勝ち抜いた上位何名かがブロック大会、いわゆるセミファイナルに進出し、マンツーマン方式で戦って勝ったほうがファイナルに進むという流れです。勝ち続けないとファイナルまで進めないというわけです。
そう考えると、ファイナルまでかなり厳しい道のりですよね。
そうですね。だから、ここ数年でシマノ社の大会で連覇っていうのがなかなか無いのも、昔はマンツーマン形式のセミファイナルを経験せずに予選一発でファイナルに行けた時代もあったけど、今はセミファイナルでマンツーマンの戦いがあるので、しっかりと力を持った人でないと上には行けないし、ラッキーパンチも少ないからだと思います。その代わり、ファイナルに行った人は翌年セミファイナルへの出場権が与えられ、予選会は免除されるし、セミファイナル会場も分かっているので、そこで一年間練習を積んで、海や磯のクセを知った上でセミファイナルに望めるという権利もあります。セミファイナルとファイナル出場を複数回繰り返している選手もいますから。
全体的なレベルの底上げは出来ているのかと思います。
なるほど。本当に実力を持った方でないと上には行けない形になっているんですね。

取材や撮影での釣行とは、全然違うスイッチが存在しますね。

その厳しい中で平和さんは連覇を成し遂げられたわけですよね。
2社の大会で優勝や準優勝など経験していますが、今はジャパンカップのグレのみ選手として出場しています。以前はそのメーカーの大会に優勝することが夢であり、一年間のモチベーションの多くをそこに注ぎ込んでいましたが、今は年に一回のトーナメントという感じで、優勝という夢を叶えてからはそれまで封印していた「大物に対する夢」を叶えたくなってオナガにチャレンジし始めました。そして、意欲的に東北の大マダイを狙ったり、関東のシマアジを狙いに行ったり、各地の大物を仕留めるという割合が一年を通して大きくなってきたというのはあります。
でも、トーナメントを軽んじている訳では無くて、年一回のジャパンカップではインストラクター選抜として出場し、一週間ぐらい前からトーナメントモードでピリッとした空気になっているのは昔と変わらないです。

やはり、トーナメントのモードと取材や撮影のときのモードっていうのは、ご自身の中で切り替えらていらっしゃるわけですか?
そうですね。まったく違いますね。
試合っていうのは、いくらきれいごとを言ったって勝たないと上にあがれない。例えば、普段自分の取材のスタイルだったら、一年を通して「10匹釣れなくていいから、1匹でいいのでデカイ魚を釣って皆さんに伝えたい」という想いでやっていますが、トーナメントとなると限られた時間の中で、効率よく勝てる最短の道を選ばないといけない。「この状況はもしかしたら40cmオーバーが狙えるかも!?」と、思ってもそれを狙いにいかないし、そこは歯を喰いしばって戦略として覚悟を決めないとなかなか勝利に結びつかない。だからこそ、「今日は試合」というスイッチを入れないといけないし、戦略的にもガラリと変わる訳です。道具立ても“獲れる”というタックルから、“食わせる”というタックルに重きを置くようになります。本当にそこは、全然違うスイッチが存在しますね。
なるほどです。やはり現実的に、試合で勝つためにはデカイのよりもキーパーをしっかりと釣るということが重要になってくる訳ですね。
それが最低条件になってくると思います。まさかの50cmオーバーが釣れることは確率として低いし、40cmオーバーだったら30cmオーバー3枚のほうが効率が良く、もしくは25cn 6枚とかのほうが効率が良いわけです。当然、そっちを狙うほうが現実的です。

トーナメントだからこその、「時間」という制限

トーナメントは時間が限られている為、いつもだったら一時間掛けて探りをいれるところを、10分や20分で見極めて、あとの20分ぐらいで微調整に入って、最後の10分でそれまで時間を掛けて見つけたことに徹底して集中すると。1時間や50分とかで場所交代をして、マンツーマンで2箇所を戦うことが多い。若い頃は、ただ単に50分間もっと釣りたいとがむしゃらにやっても、何もできずにあっという間に時間が終わることも多かった。今は50分であれば20分・20分・10分に分けて、先ほど言ったように時間割と作業をしっかり決めて、時計を見ながら集中して釣りを組み立てるわけです。
ある意味、大物を狙っている普段の釣りのほうが博打要素が強いように思うけど、「時間」という制限が大きいので、短い時間にすべての作業を短縮して魚を探していく過程としては相当リスクの高い選択を迫られる時があります。
だから、ほとんどが海をしっかりと見ながら時計とにらめっこしている感覚がありますね(笑)

へぇー。なんだか、普段の釣りされているイメージと全然違いますね。
普段はオナガ狙いの時以外は、腕時計していないですからね。取材だけでなく、普段の私生活でもほとんどしてないです。
そうなんですか!たしかに、腕時計をはめているイメージがないですね。オナガ狙いの時、腕時計をされているのは何故ですか?
オナガ狙いの時は、時計を見ながらじゃないとやれない事があるんです。例えば、10分間休ませるとか時計で管理したいから時計を見ています。それ以外は一切、時計をしていないからいつもスタッフの人に「今、何時ですか?」と時間を聞いています。まず、普段から習慣が無いんですね(笑)
そんな自分でも、試合の時は必ず時計をします。戦略的に時間を有効に使うためにも。「これで行けるはず!!」と決めつけて、何度も痛い目を見た過去がありますからね。「あの時、スタイルチェンジすれば良かった…。仕掛けを替えればよかった…」という後悔とともに。振り返ると、あっという間に終わって結局何も出来ていないという事があったから、それを避けるための時計でもあります。
試合中に、思い切って仕掛けを替えるかどうか。これもある意味、博打なんですね。
そう。糸を切ってウキを替えるっていう行為は、少なくとも一分以上はかかる訳で、一分あればもしかしたらラッキーパンチが当たる可能性だってあるかもしれないし。
だから、サシエを海の中に入れている時間がどれだけ取れるかっていう時間との戦いでもあるんです。サシエが海の中に入っていない事には絶対に釣れませんから。
そうですよね。
だから、その(サシエが入っている)時間をいかに増やすかが大事になって来るんです。
トーナメントを振り返って反省をして、「仕掛け結びの効率化」を自分で突き詰めて、例えば…、初めて言いますが、ガン玉の口を全部試合前に自分で開けて広げます。
たまたま、握ったガン玉が口閉じていると開けるのに時間がかかったり、開ける時に落としてしまったり、相当時間をロスしますから。
キャストミスにしてもそうだし、アワセ損ねて跳ね返ってきて仕掛けが絡んだとか、そういうのがあるだけで大きなロスになって、たとえ1回が10秒でも5回あったら50秒になるわけで、それだけの時間あれば1回(一流し)釣りができますから。
たしかに、そういう風に自分で意識することが大切ですよね。
だから、それが普段の撮影の大物狙いの時でも、慌てる様なシチュエーションで早く結べるとか、早くやるべき事を成せるというのはトーナメントから学んだことかもしれません。
確かにそうかもしれませんね。

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